―クロス職人になるキッカケは
この業界に入ったきっかけなんですけれども、本当に僕が高校生のときは、ちょうどバブル期で建築現場に人が足りないというときで、アルバイトをすれば15,000円とか、20,000円とかもらえるような時代だったんです。すごくお金がもらえるということで、勉強もできなかったところ、これ面白いなということでバイトにのめり込んで、卒業後もそのまま職人として働こうといった形で職人になりました。
―クロス職人を選んだ理由
クロスを選んだ理由というのは、当時僕は荷揚げの、ボードを荷揚げするとかってそういった力仕事のほうを誰でもできることですよね。それをやらされて、その時にクロス屋さんを見て、すごく楽だなと壁を貼っているだけなので、紙を貼っているだけで非常に楽そうだなと思ってそれを選んだというのがあります。ただやってみると、非常に奥深く、そんな簡単ではなく、すごく楽しくてどっぷりはまってしまいました。
やっていくうちに、自分の腕に自信が出てきて会社のやり方ともちょっとそぐわないという部分もあり、これであれば、自分で独立して自分の力を試したいという形で独立しました。
―独立して『癒着業界に変革』を
独立してみると、当時はまだまだ癒着ですね。職人は業者と元請けの癒着が非常にまだ強かった時代で、どんなに仕事が上手でも、どんなに勢いがあっても、べったりくっついて癒着をして接待をしている会社には勝てなかったのです。この世の中おかしいんじゃないかということを唱えていたら、自然と仲間が集まってきまして、要するに、わがままばっかり言って仕事も下手くそで、お客様の、常に顔を見ていない会社、これが癒着ということではびこっていました。これはおかしいと考えて、僕たちは「いかに綺麗に、いかに上手に、いかにお客様のために」というのを、これが正しいんだということを立証したいという形で組織を作っていったんです。
―『若いし、腕もいい、スピードも』新しい時代を切り開いた
そこに賛同してくれた人が集まってきたんですけれども、実際に政治的な問題もあって癒着とか駄目だと、政治家が発端から始まって癒着が駄目だと、それが民間にも下りてきて、会社とコンプライアンス的に癒着がいけませんという形に厳しく指導が入りました。そうなってくると僕たち「非常に若いし、腕もいい、スピードもある、お客様のためを思ってわがままも言わない」仕事が集まってくるのは当然だという形で僕らのところに仕事がどんどん集まってきました。プラス、もう一つよかった点というのは、ちょうどその当時ビルダーというのが台頭し始めて、そのビルダーさんからかなりのお仕事をいただけたという感じです。これが職人の時代です。クロス屋さんの時代です。
―クロス屋⇒リフォーム⇒リノベーションへ展開
クロス屋さんでそれなりの規模になってきて、それなりに売上も上がってきたんですけども、そうするとクロス屋さんだけではなくて、もっといろんなことをやりたいと思っていって、デザインとか、トータル的な内装というのでリフォーム、リノベーションにちょっと入っていきました。これをやりだした時にもうちょっと不動産も入れたほうが面白いんじゃないかということで、僕ら工事を実際やっている会社ですから、不動産を買って、自分たちでリノベーションをして販売したら面白いんじゃないかといったので決まってきまして、お客様のためになるんじゃないかということで、そういう事業を始めました。
―『リノデュース事業』のスタート
その事業をやっているうちに、作って売るというよりも本来お客さんの趣味趣向、例えば服だったら、みんな好きな服を着たりとか、好きな食べものを食べたりするためのわけです。「家という規格」があって、好きなようにできないという非常に矛盾があったところをリノベーションというのが変えていっているんですけども、それをやっていくというのは僕たちが一番適当なんじゃないかと思いました。現場に近い人間がお客さんに近いところにいって、僕らの職人ってどうしても川下にいるんですけども、それが不動産によっては川上に上がり、お客さんにより近いところでお客さんのご希望する建物、内装、デザイン、施工をできるというのが一番Win-Winなんだということで、これに力を入れてやっています。
―『培ったワンストップノウハウ』も提供したい
次の戦略としては、僕たちの行きたいところとしては、僕たちのこのワンストップ業界でしかるべき地位をきちんと築き上げて、同じような工事力のある会社さんに、僕たちのやってきたことをどんどん伝えていけるようなビジネスをやっていけたら、もっと世の中よくなるんじゃないかと業界が良くなるんじゃないかなと思っております。そういう想いがあって、じゃあこれから職人として独立していきたい方たちに向けて僕が今までうまくいったこと、失敗したことというのも一つのカリキュラムとして皆さんにお伝えして業界貢献するといった目的があります。
―クロス屋道場の『独立支援制度』とは
独立支援制度は、社員で働くのか、それとも、うちの専属の外注としてやっていただくのかという二つに分かれるんです。
例えば、どこかで勤めていて、独立したけどちょっとお金がない。車を買ったり、機械を買ったり、100万ぐらいかかってくる。でも手元には30万円しかないんだと。そういった方に対しては、会社から貸し付け、独立支援というのは貸すという形になってしまうんですけれども、お金をこっちのほうで立て替えてあげて、それを毎月返していただくと。仕事の中から返していただくという制度です。
―『要望に沿ったキャリアアッププラン』を個々に作成
社員になった場合、将来的にはもっと中に入りたいとか、もっとほかのことをしたいという方もいれば、その場で職人として独立したい、会社の社員の職人でいたい、いろんな方がいるんです。すべての要望に対してある程度キャリアプランというのを作成してあるので、うちの社員から職人になり独立したいという場合でも、ある程度、機械とか車とかの援助、こういうのもやってあげたりとか。もう少し現場の監督をやってみたいなという場合は、リノデュース(自社リノベーション事業)の監督もあるし、いろんな職人から現に実際の現場の物作りの部分から、不動産の川上の部分まで網羅すれば、いろんなキャリアを形成できるというのもうちの強みかもしれないですね。そこに対してのキャリアプランの計画というのを僕のほうで作ってあげています。こういったものが独立支援制度になります。
その人の希望であったりとか、特性、やりたいこと、個性に合わせて助言もするし、自分からやりたいことがあれば、どんどん要望をしてもらえれば。ただし、出したキャリアプランというのを転ずることはできません。
―クロス屋の仕事にとどまらない
もちろんそこで、スペシャリストを目指したいというのであれば、そこに対してもどんどん支援をしていける土俵はあると思います。
実は、クロス屋さん以外の大工さん、電気屋さん、設備屋さん、その他もろもろ、どんどん歓迎しています。「来る者・救える者拒まず」じゃないですけどそんな感じです。